

「小学館あーとぶっくシリーズ」
「原寸美術館・西洋編」の著者

ルノワールの絵画世界は信頼感と安定感のパラダイス。
信頼感って、どこにでもありそうで実はとても得がたいもの。ルノワールは、その幸福な世界のオーラを見逃すことなく、カンヴァスに刻み込むことができた希有な画家だと思っています。
今回の展覧会で出会える『団扇を持つ若い女』は当時人気絶頂の女優だと聞いていますが、画面に広がるのは何気ない仕草が作り出すみずみずしい空気感。取り繕った華やかさや気負いが微塵も見えません。
それがルノワール絵画の本領なのでしょう。
伝統の技を習得した職人魂を内に秘めながら、ルノワールは目の前の対象にありったけの力と心を捧げ、彼女の姿に寄り添ったに違いありません。
「私を信じて!」
描きなが らルノワールは心の中で何度もつぶやいたことでしょう。
だからこそ、ルノワールの絵の中の「風景」も「女性たち」もそして「花々」さえもがこんなにも穏やかにたたずんでいられるのですね。
皮肉なまなざしなどどこにもなく、それどころか、ルノワール絵画は見る者にその信頼感まで届けてくれているような気がします。
信頼感が失われようとしている昨今。曇りのない目でもう一度ルノワール絵画に出会いたいと、私は楽しみにしています。

《団扇を持つ若い女》,
クラーク美術館 ,
©Sterling and Francine Clark Art Institute, Williamstown, Massachusetts, USA

《シャトゥーのセーヌ河》,
ボストン美術館 , Gift of Arthur Brewster Emmons,19.771.
Photograph ©2009 Museum of Fine Arts, Boston
《プロフィール》
武蔵野美術大卒。アートとの新しいコミュニケーションを提案する書籍を多数企画、構成、執筆。1993年以降、子どものためのアートの絵本の企画、制作をきっかけに子どもとアートをつなぐ活動続けている。また、国内外の美術館や名画ゆかりの土地を訪ね歩きながら、様々なメディアにエッセイを発表。ほかにも「日曜美術館」など美術関係のテレビ番組にも多数出演。主な著作は『ルノワールの絵本』など『小学館あーとぶっくシリーズ(現在13巻発行)』、『原寸美術館 西洋編』(小学館)など。
オフィシャルサイトは
http://artand.jp
武蔵野美術大卒。アートとの新しいコミュニケーションを提案する書籍を多数企画、構成、執筆。1993年以降、子どものためのアートの絵本の企画、制作をきっかけに子どもとアートをつなぐ活動続けている。また、国内外の美術館や名画ゆかりの土地を訪ね歩きながら、様々なメディアにエッセイを発表。ほかにも「日曜美術館」など美術関係のテレビ番組にも多数出演。主な著作は『ルノワールの絵本』など『小学館あーとぶっくシリーズ(現在13巻発行)』、『原寸美術館 西洋編』(小学館)など。
オフィシャルサイトは
http://artand.jp

(右)「小学館あーとぶっくシリーズ④ ルノワールの絵本」
(左)「原寸美術館・西洋編」





